大雪山 黒岳・桂月岳登山 2009・2010 何度も訪れている黒岳。いつも新しい気持ちで向かう。刻一刻と変化する素敵な顔が待っていてくれる。今年2010年は退職後東京に 居住して初めての黒岳,7月も初旬とあって登山道にはかなりの残雪である。 登山靴も新調しての嬉しい登山,青空はなかなか顔を見せてくれなかったが,妻と登山するようになって数年の月日が楽しい山行。 以前は,層雲峡から6時間かけて登頂しました。今は本当に楽な山行です。 美濃の能郷山に初めて観られたことから「ノウゴウイチゴ」 オオミヤバラとも言い,その年の新枝の先に一花をつける。 とは名付けられた北海道と本州の一部に咲くバラ科の高山植物。 主に,北欧や南千島,樺太,朝鮮半島,シベリア,に広く分布。 セリ科のエゾニュウ。昨年,利尻・礼文を訪れた時にあちこちに咲いて いた。それ以来,妻も私もエゾニュウの魅力にとりつかれてしまった。 黒岳登山を始めた頃から気になっていた大きなエゾニュウ,名前も知ら なかったが,実に見事な咲きっぷりである。ガスった黒岳中腹でその神 秘的な姿がお花畑を支配していた。 この写真は2009年のもので,2010年7月初旬には観ることができなか った。推定ではあるが,はなの横幅が7〜80㎝はあろうかと思う。 この雄姿(たぶん花弁が長いので雄)が観たくて毎年登っているのだが 残念! 7合目はリフトを降りてからすぐにある道標,8合目9行目の写真を取り忘れた のでここに載せました。登山の順番ではもっと前です。すいません。 雪の重みに堪えてしっかりと大地に根付きながら曲がって立っているのが実に 嬉しい。今年も折れずに頑張っている。君のそのたくましさを見に来た。 ようやく9合目を過ぎる頃から「まねき岩」が山頂近し,と語ってくれる。晴れても曇っても,雨が降っても風が強くてもしっかり黒岳 を支えるように登山者を向かい入れてくれる。 すぐに「まねき岩」が眼下になり,頂上は目の前だ。山頂までのつづら折りの道は高山植物が咲き乱れ,なおいっそう心を癒してくれる。 山頂はガスっていたが1時間30分程で頂上に立てるのが嬉しい。昔は(昭和30年代)登山道もあまり整備されてなく,自然の変化が 足を伝わってよい汗をかかせていただいた。今は登山者が多く,高山植物への影響もあり,きびしく境界線を明示するかのような杭や柵, ロープが張られている。また,登りやすいように板を敷いたり岩を敷き詰めたり・・・で,毎年人工の変化が大きいのは悲しい。でも, そうせざるを得ないのだ。何故,苦しい思いをして登山するの?と聞かれてまともに応えられたことはないが,「山の臭いや色,空気,息づ かい,静かさ,そして可憐な花たち・・・」など,山に生ける者たちととりまく自然に,この身を置きたくて来るのだと思う。時には,天候 の状況で引き返したこともある。とにかく山行は午前中の早い時間に登頂して,早めの昼食を山の空気と一緒にいただいて,早々に下山の途 につくのが重要であるといつも思う。強行することは決してやってはいけない登山のルールだ。軽装や予備食料を持たずに山には入ることな どは,もってのほかだ。雷に遭遇して経験は,お鉢周りで書かせてもらうことにして,さてめざす桂月岳に足も軽く石室へ向かう。 7月初旬ともあって,雪渓も多い。北鎮岳の名物雪渓も健在。最近はやたらと登山ツアーが多い。「名山巡り」とかなどでは,黒岳から 旭岳への縦走も企画されている。一見素晴らしいとは思うし,以前は車ではなくバスで旭川から層雲峡や高原温泉,銀仙台などへの移動し て縦走で降り立ったところからまたバスで帰るといったこともできたので,この企画などは実にうらやましい限りではあるが,そのあとに 旭山動物園見学のツアーを売りにしているところも多く,強行スケジュールが目立つ。勿論,悪天候の時は取りやめたり,代替え企画も用 意されてのこととは推測するが。とにかく,無理をせず安全に登山を楽しんでもらいたいものだ。 このことは,登山が大好きだった父からもよく言われたことで,今でも受け継いでいる。 黒岳のバイオトイレ 2009年にはここから5時間かけて妻とお鉢巡りを楽しんだ。 シロバナチシマギキョウ タカネオミナエシ チングルマ ツガザクラ ウコンウツギ シマリス 最近は人なつっこく出てこなくなった。 たぶんみだりに餌を与えなくなったからだろう。 ようやくルールが徹底されるようになってきた。 今年も可憐に咲いている「コマクサ」 根っこは土中深〜くに 伸長している。鼻っ面が馬に似ているので「駒草」と名付けられ,高山植物の女王である。 石室に向かう途中,雪渓の上に顔を出している桂月岳 桂月岳頂上 昔,父に連れられて黒岳石室に泊まっての早朝,初めてこの頂上に立った時の雲海の上の神秘的な御来光は今もしっかり と目に焼き付いている。亡くなった父の遺品を探してもその時の写真は出てこなかったが,その光景は心の中で年々大きく膨らんでいる。 次回は,黒岳からの「お鉢周り」を掲載します。お楽しみに。 四季徒然館へ戻る |